2019年5月11日
みなさん、初めまして。薬剤師の伊藤麻利奈と申します。
調剤薬局併設のドラッグストアで4年間、薬剤師として勤務してきました。
テレビや新聞、雑誌などのメディアでお話しをさせていただいた経験があり、
この度、ピュアラモさんでも執筆させていただくことになりました。
「正しい医療知識・情報」を皆さんに知っていただくお手伝いができるよう頑張っていきます!
それでは今日は、医学的根拠のあるニキビの基礎知識についてお話していきたいと思います。
医療用語では「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」と呼ばれています。
読者の皆さんも一度は経験のあるニキビ。繰り返してしまい、痛みがあったり、お化粧が上手くいかなかったり、辛い気持ちになることもあるかと思います。
基礎知識をふまえて改善する方法を考えていきたいと思います。
以下のような原因があります。
・ホルモンのバランス
・アクネ桿菌が繁殖する
アクネ桿菌はニキビの原因菌ですが、普段は悪さをする菌ではありません。ホルモンのバランスが崩れると、毛穴の出口が硬くなり、毛穴の中に皮脂が詰まりやすくなると言われています。詰まりやすくなった毛穴の中でアクネ桿菌が増殖するとニキビができてしまいます。
月経などで日々ホルモンの変動がある女性は、ニキビができやすくなる環境に晒されているということになります。
ホルモンバランスや皮脂の詰まりを改善するにはどうしたらいいのでしょうか?
ニキビを改善するにはホルモンのバランスと皮脂の詰まりを改善する必要があることがわかりました。
以下のような改善方法があります。
・食生活を改善すること
・便通を改善すること
・ストレスをためないこと
どのような対策をすればいいのか、具体的な内容は次回以降の記事で説明していきたいと思います。
また、ニキビに悪い食べ物はあるの?かという質問が多く見られるのですが、
現時点では「ある特定の食品で悪くなることはない」という研究結果が出ています。
摂り過ぎてしまえば悪化させる可能性があるが、バランスよく摂れていれば問題にならない、という解釈ができると思います。
ニキビにもいろいろな状態や症状があります。
ニキビの種類に合わせて治療をしていくことができます。
今回は「白ニキビ」「黒ニキビ」「赤ニキビ」「膿ニキビ」の4種類のニキビについて解説し、改善方法を紹介します。
・白ニキビとは?
白ニキビは「閉鎖面ぽう(へいさめんぽう)」と呼ばれます。毛穴が角栓により閉鎖し、毛穴の中に皮脂や菌のかたまりがみられる状態のことです。
・黒ニキビとは?
黒ニキビは「開放面ぽう(かいほうめんぽう)」と呼ばれます。毛穴が開いた状態になっており、そこに皮脂が詰まることによってニキビになります。毛穴の出口とその周辺にできたメラニンと過酸化された皮脂が詰まっていることが黒く見える原因と言われています。
・赤ニキビとは?
赤ニキビは「紅色丘疹(こうしょくきゅうしん)」 と呼ばれます。ニキビの中でアクネ桿菌が増えて、炎症が起こっている状態です。
・膿ニキビとは?
膿ニキビは「膿疱(のうほう)」と呼ばれます。赤ニキビの炎症が更に進んだ状態で、膿疱では毛穴の外壁が壊され、内容物が漏れ出ることでさらに炎症を悪化させてしまうことがあります。破裂すると、ニキビの内容物が真皮に漏れ出て、強い炎症が起こります。
炎症が起こっていない場合と炎症が起こっている場合で治療方法が違います。
・炎症が起こっていない場合→白ニキビや黒ニキビの場合
近年、皮膚科などの処方では角質を取り除きやすくするアダパレンや過酸化ベンゾイルという外用薬の処方が多いように感じます。
※ただしアダパレンは妊娠の可能性がある人や妊婦は使用しない、授乳中の場合は使用しないほうが良いとされていますので注意が必要です。
皮膚科での処置として、圧出療法(清潔な状態で、詰まった皮脂を押し出す処置)や、自費診療でのケミカルピーリング(不要な角質を取り除く処置)というものもありま
・炎症が起こっている場合→赤ニキビや膿ニキビの場合
白ニキビや黒ニキビの治療と合わせて治療を進めていきます。
炎症が起こっている場合にはクリンダマイシンやミノマイシンナジフロキサシンと呼ばれる成分が含まれる抗菌の塗布薬や内服薬の処方があります。
これらの抗菌薬は医師の処方が必要であり、症状に合わせて処方されます。皮膚科などで相談しましょう。
市販でも、抗炎症作用と抗菌の作用を持った薬が発売されているので、
まずはドラッグストアや薬局で購入して使用してみるのも良いと思います。
効能・効果の欄に「吹き出物、ニキビ」と書いてあるものであれば使用できます。
また、皮脂腺の分泌に影響を与えるビタミンB2、B6、Cを摂取することも皮脂のバランスを整える効果があると言われています。
<市販の塗布薬>
ニキビに効果のある塗布薬には、以下の成分が含有されています。
炎症を抑える成分…アラントイン、イブプロフェンピコノール、グリチルレチン酸
殺菌する成分…イソプロピルメチルフェノール、レゾルシン
角質を柔らかくする・皮脂吸着する成分…イオウ
<市販の内服薬>
皮脂をコントロールする…ビタミンB2、B6、Cを含むビタミン剤
体質を改善する漢方…荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)、清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)など
※漢方は体質に合わせて選ぶ必要があります。薬局・薬店で相談しましょう。
ニキビの段階によって治療方法が変わることはお分かりいただけたと思います。
睡眠をしっかりとったり、洗顔を毎日きちんと行って、皮膚の上の古い角質をきちんと落とすこともニキビのできにくい肌を作ることのポイントです。
皮脂の分泌を整えるためにビタミンの多い食事、例えば野菜や果物を積極的に取って、食生活を整えることも大切です。
炎症のあるニキビができてしまった時には早めに医薬品を使用したり、医療機関を受診しましょう。
医療機関を受診する場合、まずは皮膚科での相談をおすすめしますが、成人女性の場合、婦人科での治療でニキビが改善することもあります。
婦人科系の疾患によってホルモンバランスが乱れてしまうとニキビが悪化することがあります。婦人科でも、症状にあわせて塗布薬、漢方、低容量ピルなどが処方されることがあります。
まずは生活習慣を改善するところからスタートして、気持ちを前向きに生活していきましょう!
※治療方法や研究は日々進歩しており、変更や新しい治療法が発表されることもあります。
執筆時点での一薬剤師の見解です。
ニキビについてもっと詳しく知りたい方は、以下の参考サイトのQ&Aを読んでみてください。
疑問に思っていることが解決できるかもしれません。
日本皮膚科学会 皮膚科Q&A
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa3/
日本痤瘡研究会 ニキビQ&A
http://www.ibmd.jp/zasou/qa.html#q1
▼この記事の参考サイト
日本痤瘡研究会
http://www.ibmd.jp/zasou/
日本皮膚科学会
https://www.dermatol.or.jp/
慶應大学病院 医療・健康情報サイト KOMPAS
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/
漢方のツムラ にきび・しっしん
https://www.tsumura.co.jp/
クラシエ 漢方セラピー 肌トラブル関連
http://www.kracie.co.jp/